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買うなら今?需給バランスに見る今後の不動産流通価格

 より良い住まいを、より安く手に入れたい。マイホームのご購入を考えている方なら、誰もがそう願うことでしょう。はたして、今後の不動産価格はどう変化していくのでしょうか? 「あのとき買っていれば……」と後悔しないためにも、買い時をしっかり見極めることが大切です。今回は、不動産の需給バランスに注目して考えてみましょう。



公示価・路線価だけではつかめない不動産の価格動向

 マイホーム購入をご検討中の方にとって大きな悩みの種、それは不動産流通価格の動向です。いつ、どんなタイミングで買っても同じ値段なら、「今は本当に買い時?」「いや、もっと値下がりするかも……」などと考えなくてもすむはず。ところが現実は、そういうわけにもいきません。特に難しいのが地価で、毎年3月下旬〜4月初旬にかけて国土交通省が発表する公示価格や、8月初旬に国税庁が公表し相続税・固定資産税などの指標としても用いられる路線価格に目を凝らしている方も多いことでしょう。

 事態をいっそう分かりづらくしているのは、前述の公示価格は実際に売買される価格(実勢価格)と差異があるという事実です。公示価格は、地価公示法に基づいて土地の合理的・客観的な市場価格を表したものですが、実際の取引においては新駅開業など都市開発によって価格が上昇したり、逆に景気の悪化に伴って値崩れをおこしたりすることが少なくありません。2009年のデータによると、神奈川県内の公示価格と実勢価格の乖離率は、例えば川崎市中原区で152.0%、川崎市川崎区で140.2%という数字が出ています。

これだけ違ってしまうと、エリアにもよりますが公示価格や路線価格だけ見ていても実勢価格はつかめないというのが実情です。



市場の品薄状態が示すのは値上がりのサイン?

 それでは、いったい不動産価格は何によって決まるのでしょうか。その大きな要因のひとつが、今回着目する「需給バランス」です。不動産市場も、売り手と買い手が存在して成り立っているという点では他の商品と変わりません。売りたいという人、つまり「供給」に対して、買いたいという「需要」がほど良くあるからこそ、市場のバランスが保たれているのです。

 ここで考えてみてください。時折テレビや新聞などで、野菜などが穫れすぎて値段が下がってしまったというニュースを見かけますが、不動産でもこれと同じことが起こります。2008年秋のリーマンショックに端を発した経済不況以降、それまで“ミニバブル”と呼ばれていた不動産価格上昇の動きが下落に転じ、住宅供給業者が抱えていた数多くの未販売物件が在庫として市場にあふれました。そのため不動産価格はさらに下がり、買いたいという「需要」に対し供給過多の状態に陥ってしまったのです。

 しかし現在は、また状況が変化してきています。供給在庫の減少が進んだのに加え、住宅着工数の極端な低迷が続いており、昨年度の前年比は新設住宅全体ではオイルショック時の28.5%に次ぐ25%減、マンションだけを見ると過去最大の59. 1%減を記録しました。さらに、市況の悪化から現在保有している不動産を売却しようとする企業や人も少なくなってきています。今売っても、売却損が出るばかりだからです。

 これらが意味するところはひとつ。そう、不動産・住宅市場の著しい品薄状態です。「需要」に対して「供給」の量が足らないと何が起こるか。それは、例えば有名アーティストのコンサートチケットなどを思い浮かべれば、容易に想像がつくことでしょう。きっと、良い席はすぐに売り切れてしまうに違いありません。また、オークションでは高値で取引され、出品されるチケットの枚数が少なければ少ないほど、そして買いたいと思う人が多ければ多いほど、取引価格はつり上がっていくのではないでしょうか。

 

購入意欲を刺激する様々な優遇措置にも着目!

 リーマンショック直後は固く締められがちだった消費者の財布の紐ですが、政府の懸命な景気対策が功を奏し、昨今の不動産市場は徐々に活気づいてきています。2009年の施策で大きかったのは、過去最大規模と謳われた住宅ローン減税。一般住宅で最大500万円、長期優良住宅なら600万円にまで拡充された控除額は、マイホームを手に入れたいと望む方にとって心強い味方です。

 また、今年は贈与税の非課税額も大幅に引き上げられました。従来は、親から受けられる住宅資金贈与の非課税限度額は500万円でしたが、2010年中に贈与を受ける人は1,500万円に、2011年中に贈与を受ける人は1, 000万円にまでアップ。暦年課税では110万円の基礎控除額があるので、それを合わせると今年は1,610万円、来年は1,110万円までの贈与が非課税となるわけです。この非課税額アップをきっかけに、住宅購入資金の一部を親からの援助で賄おうと考える若い世代の購入意欲が高まってきています。

 ちなみに、住宅資金の贈与税対策としては、贈与時ではなく実際に相続が発生するときに精算する『相続時精算課税制度』を利用する方も多いですが、こちらは昨年に引き続き4,000万円までが非課税。さらに、今年からは従来1,000万円までとされていた住宅枠も廃止されたので、ますます利用しやすくなったと言えるでしょう。

■住宅ローン減税 控除額の拡充
■住宅資金贈与の非課税制度

 

まずは信頼できるブレーンを見つけることから!

 前述の減税措置に加え、住宅エコポイント制度の発足などマイホームを購入する方への追い風はまだまだ続いています。また、ローン減税や贈与税の非課税額拡大の恩恵を受けられるうちに買ってしまおうという消費者心理も市場に影響を及ぼし始めました。ここまで状況を考察すれば、賢明な読者の皆様は既にお気づきでしょう。新設住宅をはじめとした住宅全体の供給数が減っているという事実。それに対して、消費者の購入意欲は高まっているという現状……。そう、「需給バランス」の観点から考えると、不動産価格は既に上昇へ転じていると見るべきです。それにつれて、優良な住宅や立地の良い土地は、今まで以上に早く買い手がついてしまい、なかなか手に入りにくくなることも考えられます。

 現在マイホームのご購入をお考えの方には、なるべく早めのご決断をおすすめしたいところです。ローン減税も、一般住宅で最大500万円まで控除が受けられるのは今年いっぱいまで。また、住宅エコポイントの発行対象となる工事は、2010年12月31日までに建築着工(根切工事または基礎杭打ち工事の着手)したものに限られるという点も考慮すると、今年中と言うよりは、今すぐご購入に向けて動き出しても、決して早すぎるということはないでしょう。では実際にいつ購入に踏みきるのがベストかは、なかなか簡単に判断できることではありません。そこで、まずは身近な不動産会社に相談することから始めてみてください。住宅情報誌を眺めたり、インターネットで物件を検索したりするだけではなく、どんどん店舗に足を運び、不動産のプロとしての意見を求めてみましょう。価格動向だけでなく、税金面や資金面でもきっと有意義なアドバイスが受けられるはずです。

 不動産価格が本格的に上がり始める前に、そして、様々な優遇措置が受けられるうちに、ぜひ不動産会社を信頼できるブレーンとして味方につけてください。

 
 

次号(6/30号)は見つけたいのは
「最適なパートナー」!マイホーム購入にあたっての不動産会社の選び方
をお届けします。 お楽しみに!



 

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