|
住宅内には障壁(バリア)がたくさんある!
障害のある人が社会生活をしていく上で建物内の段差など、物理的な障壁(バリア)となるものを除去するという意味で使われ始めたバリアフリー。現在では広い意味で、社会的、心理的なすべての障壁を除去するという意味でも用いられているようです。誰もが安心してみんなが同じように生活できる社会となるように、さまざまな障壁(バリア)をなくす工夫がされています。たとえば駅などでは、車いすでの移動がスムーズに行えるようにエレベーターを設置したり、スロープを造ったりしています。
急速に進められている社会的なバリアフリーだけではなく、住宅内でもさまざまなバリアがあることを知っていますか?家の中にあるいくつもの段差や、急な傾斜角度の階段、滑りやすい浴室、狭いトイレなどが考えられます。このように、住宅内に潜む危険箇所は意外にたくさんあるのです。その中でもとくに浴室、階段などでの事故が多く見られ、滑って転んだりちょっとした段差につまずいて骨折するといったケースも少なくないようです。
家庭内で起こる事故には、さまざまなケースが考えられますが、先ほど述べたような起こりやすい事故として、もっとも多いと考えられる階段・廊下・浴室などには予防のために手すりを設置することをおすすめします。
住宅内での事故を未然に防ぐ「手すり」について知っておこう!
手すりには用途によっていろいろな種類があり、それぞれに適した対応箇所があります。材質は一般的に木製やプラスチック製などさまざまです。しかし材質によっては、温度の変化で冷たくなってしまう場合がありますので、ステンレス製などは設置する場所について十分考える必要があります。滑りにくいデコボコした手すりは、移動用ではなくしっかり掴む場所に適した手すりです。このように用途に合わせて、それぞれの材質はもちろん、設置場所などを選びましょう。
将来まで考えた、暮らしやすい住宅
健康な時や若い時には気がつきませんでしたが、先に述べたように住宅内にはさまざまな危険箇所があります。部屋から部屋へ移動する時、そのちょっとした段差が移動の障害になったり転倒して怪我の原因になることもあるのです。そこで、高齢者や障害者だけではなく、妊婦や幼児、一時的にケガをしている人などすべての人が快適に暮らせると同時に、これらの事故を未然に防止できるように配慮された安全な住宅のことを「バリアフリー住宅」といいます。高齢者や障害者にとって住みやすいバリアフリー住宅はそれ以外のすべての人にとっても暮らしやすく住みやすい住宅であり、老若男女を問わずこれからの住宅づくりのうえでバリアフリーの考え方は欠かすことのできない極めて大切なポイントなのです。
住宅のバリアフリー化の方法
気をつけたいバリアフリーPOINT

廊下・階段・玄関・浴室・トイレなど
バリアフリーの具体的なポイント
事故が起きやすいと考えられる場所には、バリアフリー化のためのさまざまな工夫が必要となります。それぞれどのようなことを行えば、誰もが安全で快適に暮らせる家になるのか具体的に紹介してきます。高齢者だけでなく、家族みんなが安全に暮らしていくためにも、バリアフリーは必要なことなのです。ぜひ、家造りの参考にしてください。
廊下
通路には、ただ手すりを付ければいいと言うわけではありません。普通に暮らしている上で、方向を変えたり、立ち上がったり座ったりするなど、動作を変える場所に手すりを設置することが大切です。とくに体重を支えながら歩行するための手すりは、腰が曲がった状態の位置よりも高めに設置すると体のバランスがとりやすくなります。
車いすの移動に必要な通路の幅は、最低75cm(柱などが出ている場合)です。一般的には78cm以上が理想的といわれています。それから段差などの障害をなくし、歩行中に滑らないように床材も滑りにくいものに替えることも大切なポイントです。
一般的に廊下から部屋に移動するとき、廊下が少し下がっていることが多く、段差がない場合でも、敷居のほんの少しの段差で足を引っかけてしまう場合があります。敷居を撤去したり、段差を完全になくしてしまいましょう。
階段
住宅内での事故発生場所の第2位の階段は、昇降時に滑って落ちるなどの事故が起きやすいようです。踏み板をつまづきにくいものに替えたり、踏み面の寸法を広げる、蹴上げ寸法を小さくするなどの改修を行い勾配を緩やかにするとよいでしょう。しかし大がかりな工事ができない場所などは、最初に滑りにくいカーペット素材や、滑り止めのプラスチック補強材を張付けることだけでもよいでしょう。しかし、その時気をつけたいことは、滑り止めを付けることで段差ができてしまい、かえってその部分につまづいてしまうことも起こりえるのです。そこで、厚みが出てしまう場合などは、階段を削り埋め込むなどの配慮が必要となります。
それから昇り降りの時に体を支えるためにも、必ず手すりも設置しましょう。一般的に階段の手すりは、足元から高さ75cmの位置に付けます。そして手すりの取り付け部分が引っかからないよう、手を滑らせるのに適した丸型がよいとされています。
玄関
古い日本家屋などでは、玄関ホールと土間にはかなりの段差があります。これは、高齢者にとっては大変危険で大きな障害と考えられます。最初から考えて設計される場合は良いのですが、リフォームを考える場合は、どうしても大掛かりな工事になってしまいます。その場合、式台の設置を行うだけでも、かなり段差解消となります。
ここでもやはり手すりを設置しましょう。土間に降りるだけでなく、靴を履くために座ったり立ち上がったりする動作が必要となります。この場合、実際に日常動作に対応した手すり位置を考えて設置してください。動作によって適した手すりを選ぶことが大切です。
浴室
昔ながらの浴室の場合、浴槽が意外に高くなっている場合があります。浴槽をまたぐのに適した高さは、洗い場と浴槽の縁との高低差が35cm〜40cm。それより高くても低くても、またぐ際には不安定になってしまいます。各メーカーでもさまざまなタイプがありますので、これから建てる場合はよく考えて浴槽を選んでください。最近では安全な高さの浴槽が、最初から標準仕様となっている場合が増えています。浴室の床を上げて段差の解消をするリフォームの場合は、それに伴う給排水設置工事などが必要となってしまいます。
もっとも滑りやすい浴室内では、滑りにくい床材に替えたり手すりの設置などは必ず行いましょう。これも標準仕様となっている場合が増えています。後から取り付け工事を行う場合は、狭い浴室内で行う動作に合わせて、取り付け場所や手すりの種類などに気をつけましょう。
トイレ
身体の安定上下運動、連動した水平運動が必要なトイレには、一般的にはL字型手すりが適しています。比較的温度が低くなるトイレでは、金属の手すりよりも木製か塩ビ製でしっかり握れる丸形がおすすめです。水平の手すりは座面から25cm上の位置につけるのが一般的で、立ち上がりのための垂直の手すりは便器の前20cm〜30cmの位置だと使いやすく便利です。それからスムーズに戸の開け閉めができるように、入り口の戸を引違い戸に変更したり、持ちやすい取手へ変更するなど、使いやすさを第一に考慮して検討しましょう。
|